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川村 前回までで、「Green Weaving」プロジェクトが始まった経緯をうかがいました。ひとつ気になるのが、緑があると街の雰囲気はもちろんよくなると思うのですが、緑を植えただけで人が来る、というわけではないですよね?

栗原 そうですね。都市づくりの一般的な観点もまじえてお話しますと、緑にはいろいろな価値があるんです。まず、街の価値を高めてくれるというのがあります。街路樹があるのかないのかでも、風景ってがらっと変わるんですよ。樹木自体の機能も素晴らしくて、落葉樹だと夏は日陰ができるし、冬は葉を落として光を入れてくれます。落ち葉掃除は大変ですが、それもまた四季の移ろいを感じられていいものではないかと。緑があると自然と歩きたくなるので、健康にプラスの面もでてくるかなと。

栗原 また、「グリーンインフラ」としての力も最近は注目されています。緑を植えることで土壌の貯水力をもたせるなどの効果があります。積極的に貯水機能を持たせるような設計をすることもあります。これはコンクリート製品等の人工的な配管に水を流すような「グレーインフラ」に対して生まれた考え方です。
それともうひとつ、緑にはコミュニティーを形成する力があると思います。みんなで緑を育てるとか、愛でるとか。たとえば、食べられる植物を植えるというコンセプトのエディブルガーデンなら、果実のなる木を植えて、みんなで収穫祭ができますよね。ラベンダーのような良い匂いがする植物なら、みんなでポプリを作りましょうとかそういった活動につなげることができます。緑を楽しむ創造的な活動に参加する人たちが、行きたい、働きたい、住みたいと思う場所になっていく。樹木を植えたからといってダイレクトに人が集まるわけではないですが、緑を楽しむ活動があるエリアって、魅力的な街に映りますよね。それが結果的に、街や暮らしに対する意識を持った人たちが集まって、活気付いていくことにつながっていくと思います。

萩原 緑が増えて風景が変わることが、団地組合の方々にとっても、そこを訪れる人たちにとっても、心身的な影響を及ぼしアクションが変わる。風景が変わることで、街づくりが進み、街づくりが進むことで風景が変わる、ということがこの「Green Weaving」の本質と言えそうですね。

栗原 先ほどもお話しましたが今回の「Green Weaving」プロジェクトを進めている箕面船場エリアは、もともと千里丘陵と言われる緑が豊かだった場所を、伐り開いて開発されました。だから、緑の回復という意味もあるのかなと思います。風景を改めて作っていくという考え方とも言えるかなと思います。

川村 この長いプロジェクトの中で、ほかに竹中工務店から団地組合の方々に提案してきたことはありますか?

栗原 例えば街が持っている可能性の提案として、街から箕面の山々が見えるように建築物の形を変えるような提案もさせてもらいました。建築物の形を変えるということは、決して簡単な話ではないですが、山と風景をつなぐことが、ここで働く人や住む人にとって大きな価値につながるはずです。毎日通りを歩いていて、箕面の山が見えるのと、ビルの壁が見えるのとどっちがいいですか、といったらやはり箕面の山を見たいですよね。

菅野 実現こそしてないですが、組合員の方々は、街の向こう側に箕面の山々の景色が見えることをアイデンティティーにされていて、すごくいい案だな、という話はいただきました。

川村 見える山の風景も緑化に入るんだということに、すごい感動しています! 山の遠い風景と、街路樹と民地内緑化が掛け合わさって緑化と言えるんですね。

川村 「Green Weaving(グリーンウィービング)」というプロジェクト名は、Green=緑、Weaving=織るという意味ですが、どのように決まったのでしょうか?

菅野 「Green Weaving」プロジェクトには、主に組合員の方々の敷地を緑化する「民地内緑化」と、団地組合が持つ空きスペースなどを緑化する「ポケットパーク」の活動があります。整備や運営を含めた全体ビジョンを考えていたときに、組合員の方々や新たに街に来る人に、せっかく取り組もうとしている活動の魅力をうまく伝えるコンセプトがいると思ったんです。ここは繊維系の企業が集まってできた繊維団地ですし、繊維に目を向けてもらえるようなものが欲しかったのと、組合員の方々が建物の前の花壇や空きスペースに緑を置いてポイントポイントをつなぐことで、街の全体像ができあがるようなイメージが欲しくて、「緑」と「織る」を意味するウィービングを掛け合わせた「Green Weaving」を思いつきました。

川村 コンセプトがあった方が、人を巻き込んでいきやすいですしね。

菅野 大半が組合員の方々だったこの場所に、新しい住民や大学生などが来るとなると、「団地組合って、いったい何?」と思われますよね。「Green Weaving」プロジェクトは、まちの人に団地組合の取り組みを知っていただく足がかりになるとも思っています。緑は植えて終わりではなく、維持管理がとても大事です。組合員さんもそれを課題として挙げていらっしゃって。話し合いの中でエリアの緑をみんなで見守る「みどり見守り隊」というものを作ってはどうかというアイデアが出てきました。組合員だけじゃなくて、緑にふれたい、緑の管理に興味がある、という地域住民や大学生などにも参加してもらうところまでを見据えて、プロジェクトの仕組みを作っています。

竹中工務店

建築を起点に、都市開発やまちづくりまで幅広く手がける総合建設会社。建物だけでなく、人が集い、地域に新しい価値が生まれる場づくりに取り組んでいます。

https://www.takenaka.co.jp/

株式会社LANDMARK

LANDMARKは、2009年に箕面船場からスタートし、デザインを軸に人・企業・地域の未来をつくるプロジェクトを手がけるデザイン会社です。

https://landmark-design.net/